
政府や東京電力は需給の逼迫解消や低廉な電気の提供、脱炭素の実現に向け、新潟県に立地する柏崎刈羽原発の再稼働が必要だと訴える。長期企画「誰のための原発か 新潟から問う」の今シリーズでは、国や事業者が「常識」とばかりに並べる再稼働の理由を検証する。(6回続きの5)=敬称略=
「再生可能エネルギー風力や太陽光、水力、地熱など自然界に常に存在するエネルギー。石油や石炭などの有限な化石エネルギーと異なり枯渇しない。どこにでも存在するとともに発電などで利用する際には温室効果ガスである二酸化炭素を排出しないといった特徴があり、地球環境に対する負荷が少ない。は軽視されているのではないか」。新潟県長岡市で太陽光発電所の設置を目指す一般社団法人「ながおか自然エネルギー」代表理事の向後秀子(68)は、自宅の屋根に設置した太陽光パネルを見上げてつぶやいた。

循環型社会の実現に貢献しようと2023年12月、任意団体を法人化し、メンバー約70人で再エネ普及の道を探る。事業所への太陽光パネルの設置などを進める中、気になることがある。再エネに対する出力制御電気は需給バランスが崩れると周波数が乱れて大規模停電を招く恐れがある。このため晴天が続き太陽光の発電量が増えて需要を上回る場合などに、送配電事業者の大手電力が指示し、発電事業者が発電量を抑制する。火力発電の稼働を一定程度に抑制したり、他地域へ送電したりしても余剰電力を解消できない場合に再生可能エネルギーの太陽光、風力の出力を制御する。気象条件が良く、太陽光の導入が進んだ九州で2018年に初めて実施された。出力調整が難しい原発や水力、地熱は抑制の順番が最後になる。の増加だ。
電力の...
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