
人手不足が深刻化し、各地で人の獲得競争が過熱している。企業の財産となる人を集め、成長のエンジンに-。「人財」を巡る新潟県経済のルネサンス(再興)の胎動を追う。(8回続きの2)
ベースアップ(ベア)企業が従業員の基本給の水準を一律に引き上げる賃上げの手法。年齢や勤続年数に応じ賃金を上げる定期昇給とは異なる。基本給は業績に左右されにくく、水準が上がれば従業員の生活安定につながる。一方、企業には恒久的な負担増となる。春闘の主要な争点とされる。を2022年に4・6%、23年に16・9%-。研削盤製造の太陽工機(新潟県長岡市)は全社員対象に、22年から2年連続で基本給を一律に引き上げるベアを実施した。初任給も改定し23年4月の新入社員の基本給は21年入社と比べ、高卒で5万2千円増、大卒で4万円増となった。
あらゆる産業で人手確保が課題となる中、特に製造業では理工系学部出身の人材不足に悩む企業は多い。メーカーからは「製造業や工場勤務は人気がない」との嘆きも聞こえてくる。
太陽工機の大幅なベア決断の背景には人材獲得競争の激化がある。渡辺剛社長は「機械設計の人材を獲得しないと、メーカーとしての役割を果たせない。いかに学生に選んでもらうか。...
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