
妙高市池の平地区のロッジを購入し、リノベーションしているエリオット・バトラーさん=妙高市関川
長野県境に近い新潟県妙高市の妙高高原エリアで地価が上昇に転じた。価格そのものは都市部に及ばないが、2024年基準地価(住宅地)の伸び率は妙高市関川が新潟県内トップだった。背景には、外資系不動産投資ファンド「ペイシャンス・キャピタル・グループ(PCG)」の大規模リゾート計画がある。これを商機とみて土地建物の取引も活発化。不動産価格の上昇は続くとみられ、関係者は「バブル」と表現する。PCGの投資計画が明らかになって1年。妙高のスノーリゾート地に近づく「バブルの足音」を現場で聞いた。(上越支社・小林純、小澤楓花)(4回続きの1)
妙高高原エリアの池の平は企業の保養所やホテルが林立する。その一角にある宿泊施設「ロッジ妙高」で、室内の改修に励む外国人のにぎやかな英語が飛び交っていた。
大きな声で指示を飛ばしていたのはオーストラリア出身のエリオット・バトラーさん(30)。5月に友人とロッジを共同購入し、2025年1月のリニューアルオープンを予定する。「ここのパウダースノーは素晴らしい。たくさんお客さんが来るはずだ」と自信を見せる。

7年ほど前から毎冬この地でスキーを楽しむリピーターだった。新型コロナウイルス禍で激減したインバウンド(訪日客)が急速な勢いで回復する様子を目の当たりにし、ロッジの経営を思いついた。
エリオットさんにとってビジネスの後押しになると捉えているのがPCGの大規模リゾート開発計画だ。「構想が出るということは、この地域に大きな可能性があるということ。妙高の魅力が世界中に知られるようになれば、さらに大勢の人が来るだろう」とみる。
PCGがターゲットにする富裕層を取り込めるよう改修を進めている。オーストラリアや欧米の利用者を想定し、...
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