
政府は東京電力福島第1原発事故の発生以降に掲げていた「原発依存の低減」を改め、原発を最大限活用する方針に転換しました。12月からは新潟県の柏崎市と刈羽村に立地する東電柏崎刈羽原発の再稼働に向け、資源エネルギー庁が新潟県内28市町村を回って説明会を開く異例の対応を行っています。
こうした動きや再稼働問題を新潟県民はどう受け止めているのでしょうか。新潟日報社では、全会場の様子を取材し、質疑応答で語られた率直な声を順次紹介していきます。
【村上会場の主な質疑】
参加者 20人
回答者 資源エネルギー庁原子力立地政策室長
Q(男性) 東京電力福島第1原発事故で、原発の安全神話はうそだと分かった。立地地域への交付金、事故が起きた場合の対応費用、廃炉の経費などを含めればコストも高い。高レベル放射性廃棄物(核のごみ)を出すなどクリーンとも言えないのではないか。
A 福島事故の原因を踏まえて規制基準を強化した。再び安全神話に陥ってはいけない。電力会社は基準に適合するだけでなく、安全性向上に不断に取り組むことが大事だ。
原発のコストは事故リスク対策費用、交付金、廃炉費用などを含めても他の電源と遜色ない。核のごみの処分について決まっていないとの指摘はその通りで、社会全体で解決すべく政府が責任を持って対応していく。
Q(男性) 日本は災害国。原発事故時に避難できるかという問題がある。福島事故では周辺で甲状腺がんが増えたのではないか。
A 避難について、特に不安の声が多いのは地震や雪などと原発事故の複合災害時の対応。雪であれば雪への対応を第一に考えてもらう。地震であれば、倒壊した家屋にいては危険なので避難所に行ってもらう。放射線の影響よりも、まず体の安全を守ってもらうのが大事だ。甲状腺がんについては専門家ではないが、科学的に必ずしも福島事故で増える可能性があるとは言われていない。
Q(男性) 柏崎刈羽原発の(安全対策の前提となる)基準地震動はどうやって出した数字なのか。
A ボーリング調査で大きな地震を起こす断層帯を特定する。実際の測定値やモデルを使い、断層の角度などの要素も考慮して計算し、一番大きい値を取ると認識している。
Q(男性) 核のごみを処理する能力がないのに、なぜ原発にこだわるのか。そもそも、避難計画を考えなければならない発電方法自体おかしい。
A 核のごみについては、世界中で議論した結果、金属などで放射線を遮り、地下深くに埋設する「地層処分」という方法にたどり着いた。ただ、日本ではまだ行われていない。福島事故では、避難について具体的に定めていない部分があったことが反省点だった。事前の備えをすることが教訓の一つだ。
Q(男性) 戦争状態のウクライナでは、現実に軍隊が原発を攻めている。
A 原発は航空機の衝突などのテロに対応する設計となっているが、...