
岩塚製菓と県農業大学校が行った多収栽培実証の田植え=4月28日、新潟市西蒲区
コメ価格の高止まりが続く中、田植えが本格化する時季を迎えている。2025年産米の不足感を受け、新潟県は主食用米の生産目標を引き上げた。さらにJA全農県本部は24年産の水準を上回る仮渡し金の最低保証額を示している。これらを受け、県内では主食用米の作付けが増える見込みだ。その一方、主食用米への転換に伴い加工用米も品薄となり、価格が高騰。米菓メーカーは原料確保に頭を悩ませている。(報道部・山本司、江森謙太郎)
大型連休を控えた4月23日。雨の合間、田んぼが乾くのを待って耕運機のエンジン音が響く。「25年産はオール主食用米にしました」。長岡市で27ヘクタールを耕作する「金子農場」(同市)の金子健斗代表ははっきりと答えた。
例年は耕作面積の2割ほどで飼料用米を栽培していた。だが、25年産主食用米の価格は24年産の水準を維持する見通しがすでに示されているため、金子代表の試算では、国などの助成金を加えた飼料用米との収入差は約1・5倍になる。
高く売れることもあるが、消費者にコメが行き渡らない現状を少しでも解消したいという思いもある。金子代表は「高すぎない、安定した価格でコメを提供できるようにするためにも増産は必要だ」と話す。肥料や機械など農業資材の高騰も続いているため生産コストは上昇しており、利益を圧迫し続けている。
地域JAとして全国トップクラスのコメの取扱量があるJA新潟かがやき(新潟市西蒲区)は...
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