1997年に全7基が稼働した東京電力柏崎刈羽原発は、東電福島第1原発事故後の2012年3月に全基が停止して12年近くがたつ。地域経済にとって、原発の立地は何をもたらし、長期停止はどう影響しているのか。地元経済関係者と有識者の見方を紹介する。2回目は「デフレの正体」などの著書で知られ、人口の推移から地域経済を研究する日本総合研究所の藻谷浩介主席研究員(59)に考えを尋ねた。(2回続きの2)

-原発の建設や稼働に伴う恩恵は何でしょうか。

 「全国の原発立地地域の例からみて、地元企業への仕事の発注は原発の建設や補修の際に増える。ただ、通常運転時は電力会社が地域に頼む仕事はあまり発生しない。2011年の東電福島第1原発事故後には、原子力規制委員会による新規制基準の適合に向けた安全対策工事があった。しかし、多くを東京などの大企業が請け負い、地元が手がける部分は少なかった」

日本総合研究所主席研究員・藻谷浩介氏

-通常運転時も原発には多くの作業員が出入りします。その影響は。

 「柏崎刈羽原発は、全7基が稼働していた頃は...

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