能登半島地震を受け、柏崎刈羽原発の地震、津波への備えに関する質問が多く上がった東電の県民説明会=1月30日、柏崎市の市産業文化会館
能登半島地震を受け、柏崎刈羽原発の地震、津波への備えに関する質問が多く上がった東電の県民説明会=1月30日、柏崎市の市産業文化会館

 新潟県に立地する東京電力柏崎刈羽原発新潟県の柏崎市、刈羽村にある原子力発電所で、東京電力が運営する。1号機から7号機まで七つの原子炉がある。最も古い1号機は、1985年に営業運転を始めた。総出力は世界最大級の約821万キロワット。発電された電気は関東方面に送られる。2012年3月に6号機が停止してから、全ての原子炉の停止状態が続いている。東電が原発を再稼働させるには、原子力規制委員会の審査を通る必要がある。7号機は2020年に全ての審査に「合格」したが、安全対策を施している最中で、再稼働していない。7号機の再稼働東京電力福島第1原発事故を踏まえ、国は原発の新規制基準をつくり、原子力規制委員会が原発の重大事故対策などを審査する。基準に適合していれば合格証に当たる審査書を決定し、再稼働の条件が整う。法律上の根拠はないが、地元の自治体の同意も再稼働に必要とされる。新潟県、柏崎市、刈羽村は県と立地2市村が「同意」する地元の範囲だとしている。規制委に審査を申請した原発のうち、2023年10月27日時点で12基が再稼働している。関西電力、九州電力が11基、四国電力が1基。を目指す東電が1月30日に新潟県柏崎市、28日に新潟県刈羽村で行った県民説明会において、テロ対策不備柏崎刈羽原発では、2021年2月時点で、侵入検知設備が計16カ所で故障し、うち10カ所は代替措置が不十分なため無断立ち入りができる状態だったことが判明した。原子力規制委員会は安全重要度を最悪レベルの「赤」と評価し、21年4月に柏崎刈羽原発での核燃料の移動を禁じる事実上の運転禁止命令を出した。20年9月には、運転員が同僚のIDカードで中央制御室に入る問題なども起きている。の改善状況や再稼働に向けた取り組みなどを説明した。両会場合わせて約220人に上った参加者からは、北陸電力志賀原発北陸電力が運営する原発。1~2号機まである。1号機は1993年に営業運転を開始、設備容量は54万キロワット。2号機は135・8万キロワットで、2006年に営業運転開始。東京電力と同じ沸騰水型(BWR)で、2号機は改良型(ABWR)。が立地する石川県志賀町で震度7を観測した1月1日の能登半島地震を踏まえ、柏崎刈羽原発の地震、津波対策への不安を訴える声が相次いだ。説明会での主なやりとりを詳報する。

 説明会では、能登半島地震を受け、柏崎刈羽原発が将来起こりうる地震を適切に想定しているかを心配する意見が多く上がった。

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