能登半島地震は、原発の防災対策への疑問を改めて突きつけた。原発の安全性議論の土台となる地震研究は、どこまで深まっているのか。原発の設備や、事故時の住民避難の態勢は十分なのか。長期企画「誰のための原発か 新潟から問う」の今シリーズでは、自然の脅威が浮き彫りにした課題を検証する。(7回続きの5)=敬称略=

 「これほど大きな地震に原発事故が重なったら避難できるだろうか」。北陸電力志賀原発北陸電力が運営する原発。1~2号機まである。1号機は1993年に営業運転を開始、設備容量は54万キロワット。2号機は135・8万キロワットで、2006年に営業運転開始。東京電力と同じ沸騰水型炉(BWR)で、2号機は改良型(ABWR)。が立地する石川県志賀町に夫、2人の娘と4年前から暮らす萬澤(かずさわ)のどか(40)は、能登半島地震を受けて災害時の対応を考えるようになった。

 地震が起きた元日の夕方は、新潟市の実家に帰省するため糸魚川市の北陸道を走行中だった。高速道は通行止めにならないか、降りて海沿いの国道を走ったら津波に襲われないか。迷い...

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