
学校の周りに広がる一面のさら地、帰還困難区域の家屋に巡らされたバリケード-。3月9日に、東京電力柏崎刈羽原発新潟県の柏崎市、刈羽村にある原子力発電所で、東京電力が運営する。1号機から7号機まで七つの原子炉がある。最も古い1号機は、1985年に営業運転を始めた。総出力は世界最大級の約821万キロワット。発電された電気は関東方面に送られる。2012年3月に6号機が停止してから、全ての原子炉の停止状態が続いている。東電が原発を再稼働させるには、原子力規制委員会の審査を通る必要がある。7号機は2020年に全ての審査に「合格」したが、安全対策を施している最中で、再稼働していない。が立地する新潟県柏崎市の比角地区の住民が、福島県浪江町と双葉町を訪れた。東日本大震災2011年3月11日午後2時46分、三陸沖を震源にマグニチュード(M)9.0の地震が発生し、最大震度7を観測。東北地方を中心に大津波が発生した。東京電力福島第1原発は電源を喪失して炉心溶融(メルトダウン)が起き、原子炉建屋が水素爆発で損壊、大量の放射性物質が拡散した。震災関連死を含む死者、行方不明者は計2万2千人超。や東電福島第1原発事故2011年3月11日に発生した東日本大震災の地震と津波で、東京電力福島第1原発(福島県大熊町、双葉町)の6基のうち1~5号機で全交流電源が喪失し、1~3号機で炉心溶融(メルトダウン)が起きた。1、3、4号機は水素爆発し、大量の放射性物質が放出された。で甚大な被害を受けた町で見たのは、放射線量の影響で震災から14年がたっても人々の営みが戻っていない現実。「もし、柏崎で事故が起きたら」「戻りたくても戻れず、希望を保てるだろうか」。参加者からはそんな言葉が聞かれた。(柏崎総局・笠原萌志)
行く先々で、住民たちが言葉を失う光景があった。福島第1原発が立地する双葉町に隣接する浪江町。高さ5メートル超の津波が襲った請戸(うけど)小学校では、押し寄せた海水の力で陥没した体育館がそのまま残っていた。
「卒業式の横断幕があった。地震で日常が一瞬で奪われたんだな」。高校2年生の女子生徒(16)は、ステージを呆然と眺めながら「自分だったら冷静に避難できただろうか」とつぶやいた。
請戸小では児童と教職員らが高台に避難し、全員が無事だった。ただその後、地域を離れざるを得なかった人たちがいる。...