
経済や暮らしを支えている新潟県企業を業界ごとに紹介するシリーズ。今回はワイン醸造に取り組む県内企業に迫ります!
コメどころだけに日本酒のイメージが強い新潟県だが、個性豊かなワイナリーが県内各地に点在している。国税庁によると、県内では12の醸造所(2023年)で自社農園などで収穫したブドウを使った県産ワインを造っている。醸造所の多さでは全国都道府県別でも上位の県だ。

上越市の岩の原葡萄(ぶどう)園は1890(明治23)年に創業し、130年以上の歴史を誇る。北方村(現・上越市)出身で創業者の川上善兵衛は、日本の風土に適した「マスカット・べーリーA」など優良22品種を開発し、本格的なワイン造りを追求した。

南魚沼市では、戦後の減反政策でコメに代わる農産物を生産し、まちおこしにつなげようと、1975年に越後ワインが開業した。96年に大和町(現・南魚沼市)と地元JA、越後ワインが出資する第三セクターが発足し、アグリコア越後ワイナリーを運営する。豪雪地という地の利でワインを雪室貯蔵し、低温熟成した商品が特徴だ。


新潟市西蒲区の角田浜エリアは、砂地や海沿いの気候を生かしたブドウ栽培を手がける複数のワイナリーが集まる。先駆けて92年に設立したカーブドッチは、スペイン原産のブドウ「アルバリーニョ」の栽培を国内で先駆的に始めた。温泉や宿泊施設などを備えた滞在型ワイナリーとして、県内外から多くの人が訪れる。


弥彦村は、2019年に県内で初めて「ワイン特区」に認定された。年間醸造量の基準が緩和され、ワイン造りへの参入が容易となった。村産のブドウを使い、ビール醸造の技術を生かしたワインも誕生した。
県産ワインの知名度向上や市場拡大を目指し、複数の県内ワイナリーで連携を模索する動きもある。
◆岩の原葡萄園・髙岡成介社長「個性豊かな新潟ワイン」

新潟県のワイナリーは、地域に応じた多様な品種のブドウを栽培し、こだわりのワインを製造している。品質の向上や販路拡大にどう取り組むのか。県内最大手の岩の原葡萄園(上越市)の髙岡成介社長(61)に、業界の現状や展望を聞いた。(上越支社・小澤楓花)...