柏崎刈羽原発と周辺の市街地
柏崎刈羽原発と周辺の市街地

 刈羽村商工会と刈羽エネルギー懇談会が、東京電力柏崎刈羽原発の再稼働東京電力福島第1原発事故を踏まえ、国は原発の新規制基準をつくり、原子力規制委員会が原発の重大事故対策などを審査する。基準に適合していれば合格証に当たる審査書を決定し、再稼働の条件が整う。法律上の根拠はないが、地元の自治体の同意も再稼働に必要とされる。新潟県、柏崎市、刈羽村は県と立地2市村が「同意」する地元の範囲だとしている。を求める請願国や県、市町村に対し、その職務に関する要望や意見を述べることができる制度。同様の制度である「陳情」とは異なり、憲法で国民の権利として定められており、提出するには議員の紹介が必要。全国の原発立地地域では、地元の議会が原発の再稼働を求める請願を採択したことで、再稼働に向けた手続きが進んだ例がある。を刈羽村議会に提出したことが2月16日、分かった。提出は14日付。国の新規制基準東京電力福島第1原発事故を教訓に、原子力規制委員会が新たに策定した基準。2013年7月8日に施行された。従来の指針などが見直され、炉心溶融や放射性物質の大量放出といった重大な事故への対策や、地震、津波対策を強化した。原発を再稼働させるためには新基準に適合していることが条件となった。審査は原子力規制委員会が行う。新たに建設される原発にも適用されるほか、既存の原発にも適用される。に適合すると判断された号機の早期再稼働を求めている。

 柏崎刈羽原発を巡っては、テロ対策上の重大な不備柏崎刈羽原発では、2021年2月時点で、侵入検知設備が計16カ所で故障し、うち10カ所は代替措置が不十分なため無断立ち入りができる状態だったことが判明した。原子力規制委員会は安全重要度を最悪レベルの「赤」と評価し、21年4月に柏崎刈羽原発での核燃料の移動を禁じる事実上の運転禁止命令を出した。20年9月には、運転員が同僚のIDカードで中央制御室に入る問題なども起きている。を受け、原子力規制委員会原発推進を担う経済産業省から安全規制の役割を分離させ、原子力規制に関する業務を一元化した組織。東京電力福島第1原発事故を受けて発足した。衆参両院の同意を得て首相が任命する委員長と委員4人で構成する。事実上の運転禁止命令原子力規制委員会が、東京電力に対して出した「是正措置命令」。柏崎刈羽原発でテロ対策の重大な不備が相次いだことを受け、原子炉へ燃料を入れることや、核燃料を移動させることを禁じた。原子炉に核燃料が入れられなければ原発を動かすことができないため、実質的には運転を禁止したことになる。命令は2023年12月に解除された。を出していたが、2023年末に改善が確認されたとして解除した。今後は地元同意原発の再稼働は政府の判断だけでなく、電力会社との間に事故時の通報義務や施設変更の事前了解などを定めた安全協定を結ぶ立地自治体の同意が条件となっている。地元同意権は原発が所在する道県と市町村に限るのが通例。日本原子力発電東海第2原発(茨城県東海村)を巡っては、東海村が「立地自治体だけでは事故時の責任が重すぎる」と主張。同意権は県と村だけでなく、住民避難計画を策定する30キロ圏の緊急防護措置区域(UPZ)内の水戸など5市も対象に加わった。が焦点になる。

 請願では、柏崎刈羽原発について「一日も早い運転再開を求める」とし、国や新潟県に対して請願の趣旨の実現を働きかけることを要請している。3月定例会で審査する予定。

 再稼働...

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