液状化で壊れた水路。応急的に水を通す管を置き、土のうで押さえつけている=新潟市西区善久
液状化で壊れた水路。応急的に水を通す管を置き、土のうで押さえつけている=新潟市西区善久

 大河信濃川の旧河道がエリアに含まれる新潟市西区の黒埼地区。能登半島地震で液状化に見舞われた住宅街を歩くと、被害の深刻さが一目で分かる。ただ、被害判定は住宅本体の傾きや沈み具合などが基準になっており、宅地の被害は基準外だ。被害が広範囲に及ぶからこそ、被災者の事情はさまざまで、トイレが使えなくなった家に住む人や、日に日に傾きが大きくなる家の修理を支援不足で諦めた人もいた。(報道部・奥村直之)

 「いまだに家のトイレが使えない」。黒埼地区の善久に住む30代女性会社員は、玄関前に自前で置いた仮設トイレを見やった。黒埼地区の液状化は、噴出した砂の多さが特徴の一つだ。地盤が液体のような状態になるため、砂だけでなく浄化槽など地中に埋められた軽い物も浮き上がる。女性宅の浄化槽も被害に遭い、トイレが使えなくなった。

 発災直後、トイレのたびに、車で数分の黒埼市民会館に向かっていたという。2人の子どもがいる...

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