
東京電力ホールディングスは30日、2025年3月期連結決算を発表した。純利益は前期比39・8%減の1612億円だった。燃料費の変動を遅れて電気料金に反映する「燃料費調整制度」の差益が縮小したことが響いた。26年3月期の業績予想は、経営再建の柱に据える柏崎刈羽原発新潟県の柏崎市、刈羽村にある原子力発電所で、東京電力が運営する。1号機から7号機まで七つの原子炉がある。最も古い1号機は、1985年に営業運転を始めた。総出力は世界最大級の約821万キロワット。発電された電気は主に関東方面に送られる。2012年3月に6号機が停止してから、全ての原子炉の停止状態が続いている。東電が原発を再稼働させるには、原子力規制委員会の審査を通る必要がある。7号機は2020年に、6号機は2025年に全ての審査に「合格」した。7号機は2024年6月に技術的には再稼働できる状況が整った。の再稼働東京電力福島第1原発事故を受け、国は原発の新規制基準をつくり、原子力規制委員会が原発の重大事故対策などを審査する。基準に適合していれば合格証に当たる審査書を決定し、再稼働の条件が整う。法律上の根拠はないが、地元の自治体の同意も再稼働に必要とされる。新潟県、柏崎市、刈羽村は県と立地2市村が「同意」する地元の範囲だとしている。時期が見通せないため、未定とした。
25年3月期は、燃料費の差益縮小により収支が2270億円悪化した。売上高は1・6%減の6兆8103億円。福島第1原発の処理水東京電力福島第1原発1~3号機の溶融核燃料(デブリ)を冷やす注水などが原因で発生した汚染水を多核種除去設備(ALPS)で浄化した水。トリチウムは除去できず、他の放射性物質もわずかに残る。敷地内のタンクでの保管量は約134万トンと容量の98%に達し、2023年8月24日に海への放出を始めた。東電の計画では2051年まで続ける。海洋放出に伴う風評被害などへの賠償費用として、803億円を特別損失に計上した。
東京都内で記者会見した小早川智明社長は、柏崎刈羽原発の再稼働について...